= 概要 =
日本の「伝統」
それは美を兼ねる用。ローカル土着のDNA。世界に誇るこの国の強み。
この国における伝統的工芸品に対して、自分は素晴らしきモノづくりの精神の具現化だと考えました。
いつの日か、伝統がまだ伝統でなかった時代。それらは人の営みに悠々と溶け込んでいて、なくてはならない物事でありました。そして現代においてのそれらは堂々と「伝統」を冠し、職人らは継承されてきた「特別な技」を有し、物販としては比較的高尚なものとなりました。
そんな伝統的工芸品がこの国には無数に存在し、中でも私とご縁があったのは兵庫県豊岡市 / 但馬地方を象徴する産業である豊岡杞柳細工。下積み時代に強烈に感じたこの業界の可能性と、相反する脆さ。後者は長年に渡り解決されない後継者問題の確かな根幹でありました。自分堂を立ち上げた思い、或いは証明したいことがあります。
大局的にいうとそれは、この業界の価値を再建することです。
豊岡杞柳細工
経済産業大臣指定伝統的工芸品
our craftsmanship have been a well loved craft
for 1300 years in japan
奈良県は正倉院宝庫。そこには、日本のあらゆる宝物が保管されている。柳行李(やなぎこうり)もそのひとつ。この事実によって、この伝統的工芸品には約1300年以上の歴史があるということが証明されています。柳行李 ー 原料は防虫防湿効果を備えたコリヤナギ(ヤナギ科の一種)を丸木のままで麻糸を絡めてしっかりと編み込まれた、古来から類い稀な特別な道具であり、豊岡鞄のルーツである。かつては豊岡から全国へ、そして世界へと流通していた日本の大衆文化であり一大産業。現在においてのその伝統の技を継承し生業としている職人はごく少数となっています。
大正から昭和にかけては籐細工やコリヤナギを加工(縦割りにし薄く引いた)したもので編まれる籠類などを含めて「杞柳製品」と総称されるようになった。時は流れ「豊岡杞柳細工」に。伝統工芸の業界の末端に加わり、携わることで感じたのは、失われつつある世界に誇る日本の伝統的かつ美しいものづくりには革新が求められているということでした。
理念
Accept good luck and Act on it.
伝統的かつ美しいものづくり、そこには日本人の確かな理念と営み、または歴史が背景に存在する。ですが「伝統」を冠せずとも産業または事業というものは、アップデートしていかなければ淘汰される。至極当然だろうと考えます。
つまり従来の豊岡杞柳細工の枠に収まらない、固定概念の範疇を超えた作品を製作することは
当社の方針であり、この業界の可能性であり、それ以上のものです。
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地方での展示会や受注販売会、POPUP、出店事業に対しても多様なスタイルで積極的にアプローチしております。各情報は主にSNSより随時公開しているので是非フォローください。
伝統マーク
経済産業大臣指定伝統的工芸品のシンボルマークです。
経済産業大臣が指定した技術・技法・原材料で制作され、産地検査に合格した製品には、伝統マークのデザインを使った「伝統証紙」が貼られています。この伝統証紙がs貼られている製品は、検査を実施したものであり、品質について誇りと責任をもってお届けする製品です。
経済産業大臣指定伝統的工芸品とは
・生活に豊かさと潤いを与える工芸品
・機械により大量生産されるものではなく、製品の持ち味に大きな影響を与えるような部分が職人の手づくりにより作られています。
・100年以上前から今日まで続いている伝統的な技術や技法で作られたものです。
・品質の維持や持ち味を出すために、主要な部分が100年以上前から今日まで伝統的に使用されてきた材料でできています。
・一定の地域において、ある程度の規模を形成してつくられてきたものです。
KORI ANRI は、杞柳細工の原料となるヤナギ科の落葉低木「コリヤナギ」の栽培から加工、作品となる過程の全てを一貫して手掛けるスタイルで運営しております。
放っておいても育つ強い植物ではありますが、私たちは「より良い材料」に育てるため、通念、少なくない時間を畑作業に費やし、年間を通して育てたヤナギを、翌年以降に材料として製作に当てることができるようになります。
「コリヤナギ」は植物としての成分で「タンニン」を含んでいます。いわゆる赤ワインにおける渋みを感じる成分であるそれは、防虫効果を備えます。つまりコリヤナギを丸木のまま材料とする「柳行李」や「飯行李」といった製品と、その他 KORI ANRI の商品はどれをとっても同様であります。
こと「飯行李」に関して補足すると、材料を丸木のまま使用することにより、材料中芯部にあるワタが湿気を調節してくれることで入れた飯が旅先でも美味しく頂けるという至極理にかなっており尚且つしっかりと作られた編み目によって美しさを兼ねた製品が出来上がります。
春
コリヤナギの株元から、新たな新芽が萌えはじめる頃
KORI ANRI では前年12月に刈り取り
束にしておいたコリヤナギの山を解き
改めて「仮差し」します。
これは「冬越し」によって
一度瀕死状態になったコリヤナギの一本一本に
春の陽気を感じさせることで
再度芽吹かせ、皮を剥ぎやすくするため。
「仮差し」によって生き返ったコリヤナギは
収穫してまた一本一本と
今度は皮を剥いでゆきます。
皮を剥いだコリヤナギは乾燥する前に
しっかりと流水で揉み洗い。
そして晴れ間に1〜2週間天日干しします。
夏
天に向かって真っ直ぐ伸びるコリヤナギを育てる頃
春に収穫したコリヤナギが材料になりました。
製作に励む束の間にコリヤナギ畑には雑草が生い茂っています。
雑草の処理や害虫の管理を怠っていると
綺麗にすっと伸びた材料に育たないため
株元の間の雑草処理は勤勉でなくてはいけません。
そうした作業のついでに
「芽かき」を同時に行います。
株元の年数が大きいとその分
枝分かれが生じるため
不要な新芽を若いうちに摘んでおくことで
綺麗でしっかりとしたコリヤナギを育てることができます、
非常に重要な作業です。
秋
コリヤナギの穂先が金色に輝き揺れる頃
雑草や害虫の管理は怠らずに
変わらずに手間隙かけて育てるコリヤナギ
通年の全ての工程のおかげで
枝分かれの少ない綺麗なコリヤナギが育ってくれます。
秋の暮れには成長が止まり
秋風によって落葉してゆき
あとは時を待つだけ。
冬
大切に育てたコリヤナギの集大成が訪れる頃
豊岡市は全国的にも降雪が多い地域で知られていますが
春から秋にかけて大切に育てたコリヤナギが
積雪によて倒され折れてしまうことを避けるためにも
降雪の始まる前に「刈取り」を行います。
株元より伸びたコリヤナギを
なるべく長めに採取したいので
株元に近い位置で鎌や剪定鋏で刈り取ります。
このときにある一定の割合で
束にしてまとめてゆきます。
そして全てのコリヤナギが刈り取れた時点で
事前に膝下程度が入るまで掘っておいた穴に
一束ずつ刺すように立ててゆきます。
集合体にさせて立てた柳を最後に一括りにし
しっかりと束ねることで吹雪にも負けない
コリヤナギの山を仕立て
「冬越し」に入ります。
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